説明
: 薬玉(くすだま)は、今日めでたい行事の開幕にあたり用いられる飾り物であるが、本来は、五月五日の節句に、悪鬼を払い長寿を願うために宮中で用いられた飾り物。麝香(じゃこう)、丁子(ちょうじ)、沈香(じんこう)といった香りのよい薬物をひとつの袋に詰めたことから薬玉という。薬玉の袋には蓬(よもぎ)や菖蒲などを結び付け、さらに造花や五色の糸で飾って美観が添えられた。作者の東益常(あずま ますつね)は後藤光美(十五代宗家)の門人。京都出身、江戸住。本作は、後藤流の上品で優美、高尚な薬玉図小柄。2014年審査で保存合格。