刀の手入れは、古い油を拭い取って、新しい油を塗り替え、刀身が錆びないようにすることです。
汚れた油はきれいに拭い取り、新しい油を、くまなく塗ってください(油をひくといいます)。
● 刀を横にして下に置き、目釘抜で目釘をはずします。はずした目釘は柄に逆側の孔から入れておくなどして無くさないようにしましょう。
● 刀を鞘から抜きます。
● 刀の柄を外します。柄の抜き方は左手で柄頭を棟の方から握り、刀を斜めに立て、右手のこぶしで軽く左の手首を打ちます。
そして茎(なかご)が軽くゆるんだところで、さらに二、三回手首を打ってゆくと自然に抜けて参ります。適当なところで右手で茎を掴んで柄を抜き取ります。
● 拵付のものであったら柄を外してから、次に切羽や鐔を外し、鎺(はばき)も外します。
鎺がかたくて、外れない場合があります。そのときは鎺の棟の方を布で保護し、その上を木槌で軽くたたくと楽に外れます。
● 拭い紙を二枚用意します。一枚でよく拭って、古い油や、汚れを取ります。これを下拭いといいます。
このときは、拭い紙を棟の方からあて、刀の刃先を親指と人差し指とで軽く押さえるような気持ちで力をいれずに、鎺元から上へ上へと静かに拭います。
● 刀の表の鎺元から切先の方へ、平らに叢なく叩いて打粉をかけ、次に裏を返して逆に切先から鎺元の方へ同様に打粉をかけます。さらに棟にも軽く適当に打粉をかけます。
● 次にもう一枚の拭い紙で下拭いと同様の要領で拭います(上拭い)。一度で綺麗にならなかったら、上拭いを繰り返します。
● 拭い終えたら、錆が出ていないか、疵などはないかを確かめた上で、柄も鎺も外したまま、一度鞘に納めます。
なお、このとき用いる二枚の拭い紙は、以後使用するとき、下拭い用、上拭い用と、それぞれに区別しましょう。
● 適当にたたんだ油塗紙(水で洗ったネルでもよい)に新しい油を染み込ませ、再び刀を抜いて左手に持ち替え、右手で油紙を刀の棟の方からあて、拭いと同様な要領で静かに丁寧に油を塗ります。
油は薄く、均一に、塗り残しが無いように引いてください。
● 油のついた手で、軽く茎にも油を塗ってください。べたつくほどにやってはいけません。
● 鎺をつけて鞘に納め、柄の目釘を抜き、さらに刀を抜いて右手に持ち、刀を立てるようにし、左手に柄を持って、茎を柄に入れます。
刀を左手に持ったまま、ピタリと入るように、柄頭を右手の掌で下から軽く打ちます。
よく納まったら目釘を差し入れ、刀を右手に持ち替え、左手で鞘を握って前述(刀の抜き方、納め方)のようにして刀を鞘に納めます。
● 槍や薙刀、剣の扱い方・手入れ法も同様です。