説明
: 半開きになった大きな貝から気が立ち昇り、その中に山水や楼閣があらわれる図は「蜃気楼」。蜃(しん)とは、蜃気楼を作り出すといわれる伝説の生物。中国と日本で伝承され、竜の類とする説と巨大なハマグリとする説がある。 蜃気楼の名は「蜃(みずち)」が「気」を吐いて「楼」閣を出現させると考えられたことに由来する。 本作者の濱野矩施(のります)は二代濱野矩随(のりゆき)の若名。初代矩随の子で濱野政随に14歳で入門。17歳で政方と名乗り、その後一門の永随に師事して矩施と改める。22歳時に亡父の遺言により二代矩随を名乗る。明和八年(1771)生まれ嘉永五年(1852)没。二代矩随は濱野を「濱埜」と鐫る。初代に劣らぬ良工。特別保存刀装具。