説明
: 近江大掾忠吉(四代)は三代陸奥守忠吉の長男として寛文九年(1669)生れ。19歳で父三代陸奥守と死別し、鍛刀法は祖父二代近江大掾忠廣が没する26歳時(没年元禄六年1693・80歳)まで7年間、近江大掾忠廣に学ぶ。元禄十三年(1700)に祖父と同じ近江大掾を32歳で受領。寛延元年(1784)80歳没。祖父二代忠廣の代作をおこない、同工の作風銘振りによく似て、同工に紛れるような出来優れた作がある。遺作が泰平の世を背景に比較的少ない。本作は、切先延びごころで身幅広く重ね厚く反り頃合いの力強い姿。小糠肌の地鉄は指裏腰部に芯鉄あらわれ肥前刀の特徴をみる。変化に富む互の目丁子乱れの肥前刀正系刃文はめずらしい。特別保存刀剣。