寸法
: 頭: 3.43cm 縁: 3.77cm 腰: 0.81 cm
説明
: 蟻通宮は能の演目のひとつ。紀貫之が紀伊路に向かう途中暗がりで知らずに蟻通明神に立ち入ると大雨が降って馬が動けなくなる。あらわれた明神の化身である宮守に、紀貫之が「雨雲の立ち重なれる夜半なれば、蟻通とも思うべきかは(星が出ないほど真っ暗だったので、よもや蟻通明神が鎮座されてるとは思いもよらなかった。「在りと星」と「蟻通し」がかけことば)」と詠むと宮守はたいそう面白いと讃え再び貫之は進むことができた話。本作は長常、正楽とともに京の三名工と称賛された大月光興の蟻通宮図縁頭。銘に中国を擬して呼称した山城国をさす「雍州(ようしゅう)」を添え、「月光興 彫鐫(ちょうせん)」と草書体で銘を切る。とらえどころない蟻通明神化身である宮守の顔姿が作位をあらわしている。